窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

繊維リサイクルの歴史

繊維リサイクルの歴史 【018】安全保障とリサイクル

2010年、中国が日本に対するレアアース(希土類)の輸出を禁止するという騒ぎがあり、資源の多くを輸入に依存する我が国の脆弱性が改めて浮き彫りとなりました。 しかし、資源の多くを輸入に頼っているということは今に始まったことではありません。「繊維リ…

繊維リサイクルの歴史 【017】再生資源価格の高騰と繊維リサイクル

故繊維に限らず90年代から00年代の苦境は再生資源業界に共通した出来事でした。しかし長く続いた再生資源業界存亡の危機にようやく底を打つ大きな変化が2000年代半ば頃から見られるようになります。まず21世紀になり2008年の北京オリンピックを目指し高度成…

繊維リサイクルの歴史 【016】需要面の問題

次に需要面の問題についてまとめてみます。故繊維の用途は主に、中古衣料・ウエス・反毛の三つに分けられるということはすでにお話しました。故繊維の出口となるこれら三つの市場はそれぞれどのような問題に直面していたのでしょうか。 1.中古衣料 90年代か…

繊維リサイクルの歴史 【015】発生および回収段階での問題

当時故繊維業界が直面した問題は、大きく二つに分けられます。一つは故繊維の供給が急増した問題。もう一つは供給の増加と同時に出口としての需要が減少したという問題です。通常の製造業における仕入と違い、故繊維業界では需要動向と無関係に供給が発生し…

繊維リサイクルの歴史 【014】供給過剰によるリサイクルバランスの崩壊

90年代はリサイクルに対する関心がこれまでになく高まり、「循環型社会」形成に向けた法制度も次々に施行された時代でした。ところが「循環型社会」に最も適合するはずの故繊維を含む再生資源業界はなぜか世間の関心の高まりとは裏腹に未曾有の危機に直面し…

繊維リサイクルの歴史 【013】ごみ問題の行き詰まり

71年のニクソンショック、それに続く73年のオイルショックにより日本の高度成長は終わりを告げ安定成長期に入りました。変動相場制移行に始まる日本の円高は85年のプラザ合意以降急速に進み、海外から安価な製品が流入するようになる一方、日本は世界一の物…

繊維リサイクルの歴史 【012】中古衣料輸出のはじまり

逆にわが国の衣生活がますます豊かになった結果として、まだ着られる衣服がぼろとして大量に回収されるようになりました。女性用の肌着やクリーニング店の袋に入ったままの背広、レースのカーテンなどですが、これらは残念ながらウエスにも反毛原料にもなり…

繊維リサイクルの歴史 【011】繊維製品多様化への対応

鉄や紙は回収して溶かせばまた素材に戻ります。経済が発展し産業界は設備の拡大を続けていましたから、ぼろと違いこれらの再生資源業界は値段が上がらなくても量を扱うことによって対処できました。 しかし素材に戻すことのできないぼろの場合は事情が異なり…

繊維リサイクルの歴史 【010】「ちり紙交換」の登場と故繊維業界

高度経済成長により日本人の暮らしは豊かになりました。所得が上がる一方、生産方式の合理化、技術革新、また海外から原料が安価に入手できるようになったことにより、もはや再生資源の値段が上がることはなく、業者としては価格の低下分を数量で補填するし…

繊維リサイクルの歴史 【009】伝統的回収システムの崩壊

昭和29年の秋、東京や大阪の一部の学校で廃品の「学校回収」が行われました。今日行われている「集団回収」と似ていますが、これは児童に家庭から古新聞や古雑誌、ぼろ、空き瓶、鉄くずなどを持ってきてもらい、それを売却して学校の諸経費に当てようという…

繊維リサイクルの歴史 【008】繊維工業の隆盛

朝鮮動乱特需を第一のピークに、その後の日本経済は好況不況の波を繰り返しながらも発展の道を歩みます。そして世界史上空前の高度経済成長を遂げるのでした。 そんな中、ぼろの相場は比較的落ち着いた動きで推移します。それは昭和30年ごろには早くも綿糸や…

繊維リサイクルの歴史 【007】戦禍からの復興

戦火が激しくなるにつれ、生活物資はますます窮乏して行きました。繊維についても、前回お話した綿製品にスフを30%混入する規制などは最早遠い過去の話となり、桑の皮などおよそ繊維と名のつくものは何でも混入するようになりました。毛織物に至っては犬や…

繊維リサイクルの歴史 【006】軍需景気で活況を呈するが

昭和2年の金融恐慌、続く昭和4年の世界恐慌により故繊維業界も他の産業と同様、物が全く動かないという深刻な状況に陥りました。ところが昭和6年に満州事変が起こります。既にお話したように兵器のメンテナンスなどに欠かせないウエスですから、この軍需を受…

繊維リサイクルの歴史 【005】再生資源業界の成立と発展

第一回でお話したように、江戸時代から屑物や古着、古道具などを扱う業者は大勢いましたが、いわゆる産業として一つの業態を形成するには至っていませんでした。これらがいわゆる「再生資源業」として成立したのは明治の中ごろから大正時代にかけてのことと…

繊維リサイクルの歴史 【004】反毛のはじまり

イギリスの産業革命が毛織物、綿織物から始まったように、近代化当初産業の花形は繊維工業でした。洋紙という全く新しい技術を入れなければならなかった製紙工業とは違い、繊維工業は諸藩で産業奨励が盛んに行なわれていた背景があるためか、まず国内におけ…

繊維リサイクルの歴史 【003】ウエスのはじまり

工場の油ふきなどに使われる布切れをウエスといいます。このウエスは英語で屑やぼろを意味する”Waste”が訛ってできた言葉です。余談になりますが、ベルベットのことを別珍(べっちん:現在ではひょっとして死語になっているかもしれません)といいます。これ…

繊維リサイクルの歴史 【002】ぼろを原料にスタートした製紙工業

古繊維(ぼろ)、すなわち使用済みの衣類や布類は縫い物用として江戸時代にはすでに売買されていました。しかし、前回述べましたように当時はまだぼろの回収を専業とする人はいなかったようです。ぼろを専門に扱う仕事、つまり「業」が成立するのは明治以降、…

繊維リサイクルの歴史 【001】繊維リサイクルの歴史

「リサイクル」というと非常に新しい、流行り物のようなイメージをお持ちの方も多いのではないかと思います。ひょっとしたらそうした過熱するブームに食傷気味の方も居られるかもしれません。しかし資源を再利用するという行為そのものは、実はわが国におい…