窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

横浜土産の新たな出会いーパティシエール 状元樓(中華街)

 7月12日、2月のプレオープンからずっと気になっていた「パティシエール 状元樓」さんへ、ついにお邪魔してきました。

 「横浜土産ってあるにはあるけど、何か『らしさ』がない」、「中華菓子は豪華なんだけど、実は…」といった、自分の中で長年くすぶっていた横浜土産に対する不完全燃焼感についに応えるお店ができました。

 本店と同じく、上海租界を思わせるお洒落な、まさに華洋折衷の外観で、1階はこのお店が手掛ける中華風洋菓子の他、本店でも人気の飲茶などが買えるお土産屋さんになっています。

 そして、時代を感じさせる傾斜の急な階段を昇ると、2階は小さいながらイートインができるようになっています。窓の外の「大甘栗」の看板が現実に引き戻してくれますが、まるでディズニーランドのカフェみたいですよね。

 土曜日の、開店時間である11時にはすでに行列ができていました。お目当ては、この「上海飲茶アソート」。

●上海式角煮入り北島豚肉まん(2024年美食節金賞)

●フィナンシェ・シノワ

●クッキー・シノワ

●三種点心(肉焼売、紫もち米焼売、海鮮団子)

●胡桃の飴焼き

●マンゴープリン

と、軽食にもなる嬉しいボリューム。お昼前に行列ができるのも納得です。「上海式角煮入り北島豚肉まん」は、角煮がごろっと入っていてさすが美食節金賞受賞だけのことはあります。「フィナンシェ・シノワ」、「クッキー・シノワ」はすでにお土産で買っていったことがありますが、中華料理で使うハーブやスパイスなどが、洋菓子では感じたことのない独特の香りが中華らしさを添えるとともに、「洋菓子にこんなに合うんだ」という意外な驚きが、お菓子の新境地に踏み込んだ気がします。お茶の本場中国ですから、もちろん中国茶との相性も良いです。

 そして、「上海飲茶アソート」に含まれいませんが、これだけは外せないということで追加したのが、「チーズケーキ月餅」。冷凍庫で冷やして、自然解凍1時間~1時間半(僕は1時間)。本当に思わず唸ってしまう絶品、おすすめです。

 レアチーズケーキに挟まれた餡は、木苺、黒胡麻、小豆の3種。どれも甲乙つけ難いですが、強いて言うなら木苺の香りが良かったかな…。

 半分に割るとこんな感じ。なお、お土産は1箱にこの3種類が入っています。

 

パティシエール 状元樓

神奈川県横浜市中区山下町164

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全社員が一堂に会してーキックオフミーティング2025②

 研修終了後は、隣の会場に移動して懇親会が行われました。全社員が一堂に介して懇親を深められる事実上、年に一度の機会です。

 この1年で入社した新入社員の挨拶。

 昇格者2名の披露も行われました。

 最後はおなじみの「ヨイヨイヨイショ!」で締め。今回の研修によれば、この「ヨイヨイヨイショ!」はまさに「キズナの3次元」を表わしたものということができます。先人たちはキズナが事業の根幹にあることを現在の我々以上に身をもって感じていたに違いありません。

はじめに、自分と家族のために  よい! よい! よいしょ!!(1次元)

つづいて、会社と仲間のために  よい! よい! よいしょ!!(2次元)

もひとつ、お客様と地域のために よい! よい! よいしょ!!(3次元)

【過去のキックオフミーティング】

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「活かす」、「他利自得」とウェルビーングーキックオフミーティング2025①

 2025年7月12日、ローズホテル横浜にて2年ぶりとなる「ナカノ株式会社キックオフミーティング2025」を開催しました。当社としては、年2回全社員が集う貴重な機会です。

 恒例の全体研修。今年は『~脳科学で紐解く~組織を活用する方法』と題して、第176回YMSでもお話しいただいた、Social Healthcare Design 株式会社の亀ヶ谷正信さんをお招きしました。

1.違いを知る

 当日までに全社員が回答した質問票をもとに、それぞれの性格特性がフィードバックされ、会場では特性の似た者同士でグループ分けがされていました。最初のワークは、このグループで「人生で最高の旅行を計画する」というものです。

 同じテーマにもかかわらず、グループごとに受け止め方は大きく異なりました。全員で行く旅行を前提に話すグループもあれば、当たり前のように個別と考えるグループもあります。「計画」に重点を置き、段取りや手順に議論が集中するグループもありました。ここに正解や不正解はなく、ただ認知の仕方が違うだけです。そしてこの違いは、性格特性によってある程度の傾向が見られることがわかりました。

 では、なぜ認知の仕方が人によって異なるのでしょうか。それは脳の仕組みに深く関係しています。

 私たちの「ココロ(精神活動)」は、脳内で生じる「思考」、「感情」、「意識」が互いに影響し合うことで成り立っています。外からの情報(刺激)はまず脳の深層、進化的に古い部分で「意識のフィルター」にかけられます。この段階で重要でないと判断された情報は無意識に切り捨てられ、意識には上がってきません。

 さらにこの「意識」は非常に狭い範囲にスポットライトを当てる性質があり、意識が向けられていない部分は脳が自動的に補正してしまいます。この現象は視覚だけでなく、聴覚など他の感覚にも及びます。

 そして、意識のスポットライトが当たった情報だけが次の段階に進みます。ここで、比較的古い脳の部位である扁桃体が「感情」を生じさせ、さらに進化的に新しい前頭前野で「思考」が形成されるのです。つまり、最初にどこに意識を向けるかが、その後の感情や思考のあり方を大きく左右しているのです。

2.思考のメカニズム

 人間は一瞬のうちに一つの認知しかできません。たとえテレビを見ながら爪を切っていても、その瞬間ごとに意識は「テレビ」か「爪」のどちらかにしか向いていません。このように膨大な情報を処理し続ける脳にとって、一度固定された認知を変えることは大きな負担となり、非常に「疲れる」作業なのです。そのため脳は、最初に認知したものを無意識に「正しい」と思い込み、認知を変えることを避けようとします。これが、思考の柔軟性を阻む大きな要因です。

 認知と思考の関係は次のように整理できます。

① 事実 – 誰が見ても同じ客観的な出来事

例:「昨日の夜8時にLINEを送ったが、翌朝になっても既読がついていない」

② 意味づけ(認知) – 事実に対する自分の解釈。人によって異なる

例:「無視されているのかも」、「忙しいだけかも」、「通知が届いていないのかも」

③ 根拠 – 意味づけを支える理由や証拠

例:「いつもはすぐ既読になる」、「前にも返信が遅かった」、「SNSは更新されている」

④ 意見 – 感情や行動の方向性

例:「嫌われたんだ」、「もう送らない方がいい」、「電話で確認しよう」

 この流れから分かるように、最初の「意味づけ」が変われば、その後の根拠の集め方や意見・行動も全く変わります。意味づけが誤っていれば、どれだけ合理的に考えても合理的に間違えてしまうのです。

 だからこそ重要なのは、自分がどのように意味づけをしているのかを内省し、その思考の癖に気づくことです。認知の仕方次第で、私たちの感情も行動も変えられるからです。

3.共通点を論じる(「キズナ」の重要性)

 前述のように「ココロ」では、外部の出来事に対してまず無意識に一次感情(情動)が生じ、それが思考に影響を与え、さらにその思考から二次感情が生まれます。一次感情は本能的で自動的な反応ですが、二次感情は一次感情に対する認知(解釈や意味づけ)によって形成されるため、意識的に変えることができます。

 例えば、電車内で誰かに足を踏まれたとき、誰もが瞬間的にムッとするでしょう(一次感情)。しかし一方は「電車が揺れたから仕方ない」と解釈し気持ちを鎮め、もう一方は「わざとやったに違いない」と解釈し怒りを爆発させるかもしれません。この違いは、一次感情に対してどのような意味づけをしたかによって生まれる二次感情の差です。

 そして「キズナ」を考えるとき、ここに重要な仕組みがあります。それが、人間には相手の感情を模倣し、あたかも自分の感情であるかのように錯覚する「ミラーニューロン」の存在です。言い換えれば、私たちは他者の感情や存在から大きな影響を受けており、それを無視して幸せになることはできません。人は孤独では幸せでいられないのです。

 幸せ(ウェルビーイング)とは、「カラダ」「ココロ」「キズナ」が調和し健康である状態と定義されます。個人が本当の意味で幸せになるためには、自分自身の心と体のケアだけでなく、他者との繋がりを健全に保つことが欠かせないのです。

4.協力することの意味

 ところで、人はなぜ組織を作るのでしょうか。端的に言えば、「一人では成し得ないことを可能にするため」です。組織で目標を達成するには、メンバー同士の協力が不可欠です。この協力関係の重要性を体感するため、『先生ばかりが住むマンション』というワークを行いました。これは、参加者がそれぞれ異なる情報を持ち寄り、12人の先生がマンションのどの部屋に住んでいるのかを推理するゲームです。進め方には性格特性の違いが反映されやすく、個人的には、異なる特性を持つ人々がチームを組むことで、それぞれの持ち味を活かす協力のあり方を模索できるのではないかとも思いました。

 協力を成立させるには、ただタスクを分担するだけでは足りません。メンバー間に「キズナ」がなければならないのです。亀ヶ谷さんはこのキズナを、冬山登山におけるザイル(命綱)に例えていました。ザイルは、登山そのものの進行には直接関わりませんが、互いを結び合い、時に助け、時に助けられるために不可欠な存在です。山を登るだけなら邪魔に感じるかもしれませんが、無ければ不安で前に進めない。それが組織におけるキズナの本質なのです。当社が掲げる「他利自得」とは、単なる利害関係やギブアンドテイクを超えた、このような深いキズナを指しているのかもしれません。

 さらに、このキズナには段階があります。近親者(1次)、友人・知人(2次)、社会(3次)と広がる多層的なつながりは、どれも欠けてはならないものです。言い換えれば、太極図の陰陽のように「他者の中に自分があり、自分の中に他者がある」——そんな混然一体とした存在がキズナだと言えるでしょう。

 そして私たちが日々取り組んでいる仕事とは、組織人としてこのキズナの中で自己を磨き、成長するための機会です。職場は自己成長のための「道場」であり、ここでの経験が自分の可能性を広げていきます。可能性が拡大すれば、初めは「お金を払って何かをしてもらう」立場でも、「お金をもらい人に何かをしてあげられる」立場へと変わっていくのです。仕事とは、まさにそのための挑戦の場だと言えます。

5.まとめ

 私たちは、外部の出来事そのものよりも、それをどう意味づけるかによって思考や感情が大きく左右されます。だからこそ、意識のスポットライトをどこに向けるのかを主体的に選び、自分の認知のパターンに気づくことが重要です。過去の自分との比較は成長の糧になりますが、他者との比較はしばしば不必要な苦しみを生み出します。比べるべきは「昨日の自分」であり、「他人」ではありません。

 そして職場は、自己成長と他者貢献を両立させるための道場です。これらは車の両輪のように、一方だけでは前に進むことはできません。自己を磨くことで可能性を広げ、その力を他者や社会に還元していく。そこにこそ、組織に属すること、そして働くことの本質的な意味があるということです。

<つづく>

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争いの構図とマネジメントの進化的視点、経営への応用ー第178YMS

 7月9日、コミュニティラウンジ「Benten103」にて、第177回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました。

 今回は、「進化的視点から考察する『争いの構図』と『次世代戦争観』と題してお話しいただきました。以下に、その要点をまとめます。

はじめに:戦争を進化的視点で捉える意義

 戦争の本質を理解するためには、進化の過程で培われた人間の本能や行動パターンを読み解くことが重要である。ここでいう進化的視点とは、争いのメカニズムを人類が進化の過程で培ってきた本能や行動パターンを適用して解明することを意味している。

1.「争いの構図」の理解

1.1 生物はいつ争うのか?

 生物の世界における争いには大きく2つのパターンがある。

<パターンA:生存競争>

異種間で発生し、攻勢が優位な場合に顕在化する。烈度が高く、殲滅戦に発展しやすい。

<パターンB:社会競争>

同種間で発生し、攻防が伯仲している状況で顕在化する。烈度は比較的小さく、序列やリソース配分の調整を目的とすることが多い。

この二つは植物の世界にも見られ、種内・種間での資源争奪の様相として観察できる。

1.2 人間の場合

 人間もまたこの二つのパターンを共有しているが、決定的な違いは「武器の使用」にある。武器の登場により、社会的競争が容易に殲滅戦へとエスカレートするようになった。この暴走の極致が「戦争」であり、進化的視点から見ると戦争は生物の競争行動の延長線上にあると言える。

2.歴史的戦争観の変遷と技術

2.1 古代の戦争様相

 古代の戦争は、チャリオットや攻城兵器、騎馬戦術など、既存の技術の転用から始まった。

2.2 近代と戦争の技術革新

 近代戦争では、戦争が新技術を生み出す起点となった。核兵器の登場はその典型例であり、戦後には原子力の平和利用として産業に転用された。インターネットも同様である。その理由は、近代戦は莫大なコストを伴う上、そこで開発された技術それ自体は農業のように生産物を生み出さないため、コスト回収のため戦後民生転用しようというインセンティブが働いたものと思われる。

2.3 現代戦争の特徴

 現代戦争では、ゲリラ戦や都市戦が主流となり、国家間だけでなく非国家主体の争いも増えている。核兵器使用の可能性が常に存在する一方で、社会的秩序の圧力がその使用を抑制している。例えば、ウクライナ戦争におけるロシアは核使用の選択肢を持ちながらも、それを行使していない。ここには国際社会の規範や理性的な観念がそれまでより大きく作用するようになったからだと考えられる。

3.次世代戦争観とそのマネジメント

3.1 攻勢優位の心理と制御

 戦争は「攻勢優位を作為できると判断した側」が起こすとされる。しかし、攻撃的な状態はエネルギーを大量に消費し、持続が困難なものとなっている。その結果、先に述べた現代人の理性的観念は、圧倒的な攻勢優位による戦争を否定する方向に向かっている。そのような社会的変化と共に、例えば以下のような、戦争を抑止する戦略を整備していく必要がある。

  • 相手に攻勢優位と判断させない戦略的環境整備
  • 強固な同盟関係と地域的協調体制の構築
  • 戦争のコストとリスクを「見える化」し、開戦への衝動を抑制

3.2 戦争を管理するための総合的アプローチ

これからの時代、戦争の予防および抑止のためには争いに対する理性と本能の役割を理解すると同時に、情報戦、心理戦、認知戦、経済制裁などすべてが戦争の手段に含まれるという認識をもって、それらに基づいた総合的なマネジメントが必要である。

4.進化的視点を経営に応用する可能性

進化的視点は軍事だけでなく、組織経営にも応用可能である。例えば、不確実性の極めて高い戦場において培われた、軍事学における目標設定、組織運用、業務運営などは、企業経営のフレームワークとしても応用可能である。

  • 目標設定:リスクの推定、資源の配分、具体的な達成目標の設定
  • 組織運用:業務プロセス構築、資源配分、現場指導
  • 業務運営:情報収集、分析、状況判断、決心

 実際、VUCA時代の企業経営では、軍事で培われたOODAループ(Observe, Orient, Decide, Act)の適用が有効であるとされ、米軍の状況適応型指揮(Mission Command)は、トヨタの現場主導型経営との類似性が指摘されている。

まとめ

 進化の歴史に根ざした「争いの構図」は、戦争の本質とその抑止策を理解する重要な鍵となる。理性と社会的規範の活用により、次世代の戦争を管理・抑制する知見は、組織経営の課題解決にも応用可能である。

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2025年6月アクセスランキング

 ブログ開設から17年7ヶ月(6449日)、gooブログのサービス停止に伴い、はてなブログへの移行を順次進めてまいります。まだ勝手がわからないので、ひょっとしたらこの「アクセスランキング」も今回が最後になってしまうかもしれませんが、ご了承ください。

 さて、2025年6月にアクセスの多かった記事、トップ10です。

 まず、4月に行われた第175回YMSの記事、「良い眠りが最高のパフォーマンスにつながる、経営者のための睡眠学ー第175回YMS」が6位に入りました。YMSの単独の記事が3ヶ月続けてランクインするのは、恐らく史上初めてのことなのではないかと思います。

 そして定番記事ですが、12ヶ月連続でランクインを続けていた「Yema(イェマ)-フィリピンのお菓子」がついに11位でランク外となりました。それに対して、以下の二つの記事は前月に続きランクインしました。8位の「川沿いにできた、驚きの居酒屋―ささご(野毛)」ですが、一つのお店でこれだけ長くランクインを続けたというのも、記憶にありません。これまでは、2024年5月~10月に「近くにできたハンバーグ屋さんに行ってきましたー万平食堂(吉野町)」が記録した6ヶ月連続が最長だったように記憶しています。

7位:「久村俊英さんの超能力を目撃してきました」(2ヶ月連続)

8位:「川沿いにできた、驚きの居酒屋―ささご(野毛)」(7ヶ月連続)

 個別記事のトップは、「初めての方のための生成AI体験-第177回YMS」。地元の焼き鳥屋さん「ようやく伺うことができましたー鶏の里(吉野町)」も、僅差で4位:「大阪・関西万博へ行ってきました」を抑え、多くのアクセスがありました。

 燮会関連の記事、5位:「サイバーセキュリティの現場における交渉と信頼-第69回燮(やわらぎ)会①」も投稿直後から非常に関心が高かったように感じます。

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「並行交渉」の特徴と役割について-第69回燮(やわらぎ)会②



 第2部は、恒例の「交渉理論研究」。第27回のテーマは「並行交渉」です。



 並行交渉とは、たとえば外交交渉などで首脳同士が行う「フロントチェネル交渉」と並行して行われる、実務者による非公式または水面下の交渉(バックチャネル交渉)、や政府関係者ではない専門家などによる非公式な対話(トラックⅡ交渉)を言います。

バックチャネル交渉やトラックⅡ交渉が行われる理由は、フロントチャネル交渉には、たとえば国としての面子や有権者に向けたアピールの必要など、交渉の進展を妨げるさまざまな障壁があるため、それらを緩和し、交渉を前に進めるためです。”Negotiation Analysis”の著者であるハワード・ライファは、そうした障壁を11個特定し、挙げています。



 実際、ライファは太平洋戦争(1879~1884、硝石戦争)以来、対立関係が続いていたボリビア、チリ、ペルーの代表者をハーバード大学に集め、交渉のロールプレイ・シミュレーションを通じて彼らを協働させることで、和平にむけた創造的な交渉の土台づくりをしました。これは、トラックⅡ交渉の一例です。同様に、MIT(マサチューセッツ工科大学)のローレンス・サスカインドもアメリカ合衆国環境保護庁(EPA)と利害関係者の代表にロールプレイ・シミュレーションを行わせ、実際の交渉の示唆となる共創機会への気づきや交渉を円滑に行うための共通言語の共有に貢献しました。



 今回は、これに因んで「バッチフォゲン」というロールプレイ・シミュレーションを行いました。今回のテーマ「並行交渉」は、前回までの「第三者の介入」による交渉の一つであるため、このシミュレーションには、交渉当事者(プレイヤー)だけでなく、交渉の進行を導くファシリテーターも加わりました。限られた時間の中ではありましたが、みなさん結構良い交渉ができていたように思います。

 最後に補足として、近年発達の著しい生成AIを利用した交渉シミュレーションの可能性についてお話ししました。



 懇親会は、昨年に続いて、近所の『仙や』さんで行いました。

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