窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

直感の死角に気づき、対立を創造的合意に導くーキックオフミーティング2026①

 2026年7月11日、ナビオス横浜にて恒例の全社員研修「キックオフミーティング2026」を開催しました。ナビオス横浜は、2009年のニューイヤーパーティー以来になります。

 会場の目の前は、2021年に開業したロープウェイ「YOKOHAMA AIR CABIN」の「運河パーク駅」があります。そこには、横浜開港150周年を記念して設置された花時計の一部が今でも残っていました。当時、僕も花時計づくりに携わりました。

 さて、第1部は基本的に弊社の根幹をなす重要な価値観である「活かす」、「他利自得」をテーマにした研修を行います。今年は、以下の3つのロールプレイ・シミュレーションを行いました。

  • 砂漠で遭難
  • 荒野でも遭難
  • ウエスになったシャツ

 一つ目の「砂漠で遭難」は、いわゆる「コンセンサスゲーム」です。コンセンサスゲームにはいくつかのバリエーションがありますが、非常に有名なのでご存じという方もいらっしゃると思います。課題は、砂漠の真ん中で遭難したグループが生き残るために使えるアイテムの優先順位をつけるというもの。

 今回の結果は上表の通りでした。細かい順位の前後に解釈の余地はあるものの、どのチームも「何を目的としてアイテムを選択しているのか」は明確であった様子が窺えます。また、私たちの直感と現実との間には乖離があるということが、今回も結果に反映していたようです。

 二つ目は「荒野でも遭難」。再び飛行機が墜落し、遭難してしまいました。今回はそれぞれ専門知識を持った生存者の役割を演じてもらい、冬の嵐の迫りくる中、荒野のど真ん中から遠く離れた町へ脱出する術を議論してもらいました。このシミュレーションでは、必ずしもコンセンサスに達する必要はありません。実際、15%のチームがそれぞれ複数のルートを選択する道を選びました。

 「三人寄れば文殊の知恵」というように、最初のシミュレーションでは集団で意思決定をするメリットの方に主眼が置かれていましたが、こちらは逆に集団であるが故に起こる意思決定の歪み(集団バイアス)に直面することになります。また専門知識が諸刃の剣となりうるということ、情報の鮮度、リスク態度など、普段の仕事にも関係する重要な視点がシナリオに散りばめられていました。

 三つめは「ウエスになったシャツ」。損害賠償をめぐって争う当事者と、彼らの間に立つ調停者の役割を演じてもらう三者間交渉シミュレーションです。なかなか難しく、時間も足りなかったようで、3割近いチームが合意に至りませんでした。このシナリオの主眼は、いかに双方の立場(ポジション)を超え、利害関心(インタレスト)を掘り起こすことで分配型交渉を統合型に移行させることができるかにあります。やはり合意しなかった理由を聞いてみると、残念ながら分配型交渉に終始してしまった傾向が見られました。一方、統合型に移行し、双方が満足する「WIN-WIN」の結果を創出することができたチームに合意内容を聞くと、様々な工夫を凝らして価値を創造した様子が窺えました。中には、調停者までもが出費するといった「大岡裁き」のような三方一両損のアイデアも。

 交渉結果の満足度について5段階評価(5:大いに満足~1:大いに不満)してもらいました。合意したチームはやはり概ね満足度が高い傾向にありました。しかし、少数ながら満足のいく合意が得られなかったところもあったようです。時間の制約もあり、合意の質よりも合意そのものを優先するバイアス(合意バイアス)があったのかもしれません。

 一方、合意できなかったチームについて見てみると、こちらも予想通り満足度が低い傾向が見られました。その理由ですが、お互い譲らず妥協点が見いだせなかったというところがほとんどでした。しかし興味深いのは、少数とはいえ調停者の方には比較的満足度の高い人がいたということです。これについては理由を聞いていないので推測するしかありません。合意には至らなかったものの、ある程度調停者としての役割は果たせたと感じたのか、あるいは自己評価の問題なのか。時間がなくそこまで踏み込めなかったのは残念でした。

<つづく>

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした👘